ジェンべ・フォラとの遭遇 #4


それからわたしは、
ママディさんの教則ビデオを
Yさんのお店で購入した。

ママディさんの解説付きの
初心者向けリズムが数曲入った
ジェンべの入門ビデオだ。
有名なのでご存知の方も多いはず。

それを見て、まずわたしが気づいたのが、

わたし、かっこ悪い。

ということ。

ママディさんや他のジェンべ奏者の人が
ジェンべを叩いている姿と、
自分が叩いている姿が
あまりにも違っていて、
日本とギニアどころか天と地ほどの差があった。

ビデオの中の人はみんなアフリカの男性。
腕が長くて頭が小さくて、
たくましい腕には
見惚れるほどの筋肉がついている。

自宅で鏡を見ながらジェンべを構えて見てみると、
薄っぺらで猫背で頼りない
そんなわたしの姿とジェンべが映っていて、
心の底からがっかりする。

そして腕が短くて頭が大きくて、
彼らとは全くの真逆のバランス。
手も小さいなぁ。
どうしようもないこのちんちくりんさ加減は、
まるで子供がジェンべを叩いているかのようだ。

自分と体型が違うのは当然なんだけど、
それでもなんか雰囲気が全然違うじゃん、、、

女だから?日本人だから?
でもわたしもあんなふうにかっこよく叩きたい。

腕の振り方、手がジェンべを叩く角度、姿勢など
ママディさんのビデオで毎晩研究した。

仕事が終わって深夜に帰宅して、
とりあえずビールの缶をプシュっと開ける。
そこから明け方まで
ビデオを再生したり一時停止したり、
ひたすらそれの繰り返しだった。

年頃の女が四畳半の部屋で夜な夜なひとり、
何やってるんでしょうね。
今思い出しても笑える。

Yさんが以前、
「友人のHはスタジオでジェンべの個人練をする時、
鏡と時計を見ながら1分間連打するのを
何回か繰り返してるらしい。
まぁスポ根系の千本ノックみたいなものだね。
極限状態の自分をいかにかっこよく見せるか
鏡でチェックするというのがいかにもHらしいよな。
僕はそんなことしないけど、いい練習にはなる。」
とか言っていたのを思い出し、
わたしもやってみることにした。

1分どころか30秒も続かない。
その上何回も繰り返すなんて到底無理だった。

ジェンべ・フォラへの道のりは
当然のことながら、まだまだ遠い。

ジェンべを叩いてたころの写真を発掘しました。
わ、若いな、、、(笑)
叩く姿勢とか技術の向上はもちろん大事ですが、
どうやったってちんちくりん体型はなおりませんね。
でも「誰が見ても楽しそうに叩く」というのも
これまたかっこいいんじゃないかと気づきまして。
ママディさんの筋肉は真似できなくても、
あの素敵な笑顔は真似できるかも?

そしてわたしは「愛嬌」と「勢い」で
ちんちくりんをカバーするという技術を
身につけました(笑)

(ジェンべ・フォラとの遭遇 #5へつづく)

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