叩きたくてたまらない #3
やはりというか、狙い通りというか、 A村の民族楽器店は D氏のワークショップで いつも会う人にたずねると すぐに判明した。 Tカンパニーという名前で、 ジェンベ教室もやっていて、 教えてくれたその人も 何度か行ったことがあると言っていた。 教室があるとわかっただけで 早くその店に行きたくて気があせった。 次の週末、 わたしは自転車でA村へ向かった。 その雑居ビルは、 通り慣れた道にあった。 でも入るのは初めて。 路地のように細く入り組んだ通路に沿って 小さな古着屋や占いの店が 詰まっていた。 階段を登ったところに、 そのお店はあった。 しかし、扉は閉まっていた。 ノックしても返事はない。 その日は仕方なくそのまま帰り、 翌日、もう一度のぞいてみた。 今度は扉が開いていた。 象がジェンベを叩いているかわいらしい絵と 店名が書いてある看板が出ていた。 ちょっと入りにくい雰囲気の漂う入り口を おそるおそる覗いてみると 中にひとりの男性がいた。 それほど広くないお店の壁には ジャンベが数台並んでいた。 男性は覗いていたわたしに気づき、 ギョロリと大きな目でこちらを見て、 「いらっしゃいませ。」 と、ニコリともせず言った。 うわ、愛想わるっ。 看板のかわいい象さんのイメージと 全然違うし。 でも二日連続ここまで来たんだから、 聞いてみないと。 「あの、ジャンベが習いたいんですけど、、、」 「ジャンベですか?持ってるの?」 「あ、はい。いちおう。」 「そうですか。で、どのぐらいやってるの?」 「いや、まだ全然で、、、」 月に一回ワークショップに通ってるけど、 もっとやりたいこと、 自分の音がヘボすぎて気に入らないこと などを伝えると、 「毎週日曜日の10時から、 スタジオPで僕が教えています。 とりあえず一回来てみたら?」 と、お店や教室の情報がのっている パンフレットをくれた。 その人はYさんという名前で、 「僕はもともとコンガをやっていて、 最近ジャンベが人気