ジェンべは突然やって来た #4


四畳半の部屋に
ぷーんと独特の獣臭がただよう。
部屋が狭いせいか、
ワークショップで
叩かせてもらったジャンベよりも
ずいぶん大きく感じる。

この状況を理解するためにも、
まずはDに連絡してみよう。
そして、もやっと疑問に感じたことを
全部質問してみよう。
送り主の欄にある番号に電話をかけた。

数回コールすると電話がつながった。
「もしもし」
聞こえてきた声はDではなく
女性だった。

Dが出るものだと思っていたので
意表をつかれてしまった。
「あ、あの。Dさんはいらっしゃいますか?」
「どちら様ですか?」
電話の向こうの女性の声が
急に警戒心をむき出しにしたように感じた。
その声色に怖気付いてしまったわたしは、
「いや、えっと、あの、
いまDさんからジャンベが届いて、、、」
それだけ言うのに精一杯だった。

「えっ?ああ、そうなんですね。
お名前をお願いします。」
声は普通のトーンにもどった。
何なのいったい、この人??

名前を告げるとその女性は、
「ジャンベ届きましたか?
よかったですね、いいのが見つかって。
Dがあなたのために選んだんですよ。」
「えっと、あの、、」
「あ、代金は次回Dに会う時に
直接渡してください。」
「いえ、その、Dさんはいらっしゃいますか?」
わたしはまずDと話すことが
必要だと思っていた。
しかしその女性はきっぱりと言った。

「わたくしはDの妻ですが、
Dは留守にしてますので。」

話は以上だった。

獣臭がするのは、
ジェンべがヤギなどの動物の皮を使用しているから。
そこまで極端には臭いませんが、
わたしの初代ジェンべの皮はどちらかとうと
香り高い(笑)ほうでした。

ジェンべは突然やって来た #5へつづく

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